しっかりとガードした頭は、誰にも蹴られることなく守られ、
体重にものを言わせた下段蹴りでジワジワと相手選手を追い詰める。
最後は立っていられなくなり膝をつくか、右パンチを効率よく
かわす脚力を失って撃墜される、という展開が繰り返された。
もちろんその3倍以上殴られたり蹴られたりしたが、
私を含む3人の大柄な生徒と連日スパーリングをしていたので
中型選手の多い県大会ではダメージが少なかった。
ある意味「肉を切らせて骨を絶つ」戦法だったが、
耐える訓練をしてきたし、耐えるしかなかった。

我々の道場の、たったひとりの選手は順調にコマを進め、
不用品回収ベスト4にまで勝ち上がった。あと2人で優勝だ。
思わぬ善戦に、県内最少の道場の生徒たちは大いに沸いた。
すると、支部道場の同じベスト4の選手から声がかかった。

「是非、自分と決勝戦で戦いましょう!」

そう言って下さったのは、我々の道場の選手とも個人的に仲が良く
後輩に分け隔てなく指導をしている先輩だった。